テレワークについて考えてみる
今、国策としてテレワークが推進されている。
東京オリンピックへ向けて通勤の混雑解消とか女性活用のためだという話を聞く。
私は以前ノマドワークに憧れていて、やたらWifiと電源のあるカフェに出かけてパソコンを使っていた。最近はそういうノマドかぶれも治ったところだったのだけれど。
テレワークは出産、育児、介護などで出社がしにくい人が働き続けやすい仕組みとして良い。 経験のある人が出社がしにくいことをきっかけに会社をやめてしまって後の人が困ったり、結局その仕事がなくなってしまったりする。そうなるよりはテレワークなどで働ける時だけでも働いてもらって、仕事を継続して行けるほうが良い。
けれども、そういう事情がない社員にまでテレワークを広めるべきなのか? テレワークで本当に生産性があがるのか?そもそもこの場合の生産性って何なのか。
私も勤務先でもテレワークが推奨されている。ルールは以下だ。
- 週2日まで
- 場所は自宅か実家
- 会社指定のアンチウィルスソフトを入れる
- 残業不可
職場で一緒に仕事をしている人がテレワークするのだが、そこで感じていることは以下。
- 業務時間のズレ
在宅の人は朝7時から作業し、16時に業務終了。
出社の人は朝11時から作業し、20時に業務終了。(フレックスタイム制なのでこれが一番遅いパターン)
ズレができる。在宅勤務の人に合わせて業務連絡しないといけない。客先から午後の遅めの時間にテレワークの人が担当する箇所に対して急ぎの修正依頼がきたりもする。
- 社歴の長さによる不公平
社歴の長い年長社員のほうがテレワークを使いやすい。自分の裁量でできる仕事を持っているからだ。
社歴の浅い社員は先輩に仕事の指示をあおがないといけないので難しい。
- 人間関係構築が難しい
この点でも社歴の長い社員が有利で社歴が浅く若い社員は不利。
- テキストコミュニケーション力
チャットやSNSでのやりとりや進捗報告が上手い人でないと難しい。文章でのコミュニケーション能力が高いことが求められる。
ちなみにテレワークする年長社員がテキストコミュニケーション下手だと後輩が苦労して忖度する羽目になる。
- ミーティングが難しい
メンバーが集まっての見積もりや打ち合わせなどがしにくくなる。客先とのやりとりが発生していたらなおさら。勢いテレワークの人は省くことになる。
- 仕事道具が自腹に
自宅に仕事に使えるPCやネットワーク環境を備える必要がある。自腹負担は増えると思う。
- 残業不可の決まりの場合、給料が減る
会社は残業代の抑制になっている。
私の勤務先の場合、テレワークが実際には自宅待機みたいな状態になっている場合もある。
従業員にとっても、会社にとっても良いことばかりとは言えない。
リモートワークは成功例ばかりがもてはやされているが、うまくいっていない場合の例ももっと出てきてほしい。 以下は貴重な例だけど、こういう話はもっとあると思う。
ruby学習歴4ヶ月のガチ未経験がリモートで挫折した話 - シマリスのお部屋
この人は技術力が足りていないのにリモートワークして失敗した例。
会社にとってリモートワークは従業員を管理しづらくなるので、そんなリスクを払ってでも人を雇いたいというのはそれなりに理由があるはず。
求めている技術力のある人を常駐待遇では雇えないのでリモートワークを餌にするしかない、とかだ。
この会社の社長はRubyエンジニアの能力を測ることもできず、そもそもまともにエンジニアを雇うことができなかったと思われる。普通のRubyエンジニアなら避ける会社に新人フリーランサーが捕まってしまったんだろう。
他にも知人でリモートワークに失敗した人がいる。
その人は技術力はあったようなのだが、人間関係構築がうまくいかなかったようだ。
人に誘われてある会社でリモートワークの勤務を始めたが、誘ってくれた人が会社を退職してしまい、その後に会社の開発方針が代わり、社内で居場所を失って退職することになってしまった。
こういうことはリモートワークでなくても起こるんだけど、リモートだとさらにリスクがあがる。
在宅勤務はその人に、周りが注目し頼るだけの能力がなければ足手まといとなり、ハブられることになる。
多くの人が同じ時間に同じ場所に集まって行うことで上がる生産性もある。
もともと会社はそのための集団だし、場所だ。むやみにリモートワークを持ち上げることが良いとは思わない。